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  • 眼下突起は頭部の形状を決める一手
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  • 大顎の形を愉しむ。
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  • 大顎の形を愉しむ。
hopeiやbinodulosusに限らず、個体を見たときに頭部から腹部にかけて
次第に小さくなる、逆三角形のプロポーションが理想的であることは
書いた。

なんといっても、クワガタの象徴である大顎を目立たせることができる個体が
カッコイイクワガタの基本であるから、逆三角形のボディを持つ個体は、頭部が
強調されていて、やはり格好良い。

「妖怪比率」、すなわち頭幅÷全長=0.38の比率は、ある意味有り得ないビックリ
するような個体の基準にはピッタリではあるものの、自然な美しい比率とは
言い難い。

頭幅は、0.38の比率をいかなくても、頭幅と胸幅の関係が約1ミリの差がある程度が
一番自然に見えると思われる。胸幅が概して大きくなりがちで、胸幅-頭幅=1ミリ
ぐらいが良いだろう。

しかしながら、個体によっては、1ミリの差でも格好悪かったり、1ミリの差以上であっても
格好良い個体が存在するから、これは絶対ではない。

僕らが個体を見たとき、頭が勝っていると思う個体で、厳密にどこを見るだろう?
頭部全体と前胸全体を見るというより、頭部の下部と前胸の突起部との差が一番
意識しやすいポイントではないだろうか。

そこで、眼下突起である。
眼下突起とは、複眼の下、頭部の両下角の突起のことである。
僕にその存在を初めて教えてくれたのは桜GENZIさんである。
眼下突起が発達していれば、頭が四角に見え、頭部の形状が
格好良く見えることもさることながら、頭部が少々前胸より負けて
いても気にならないのだ。

SZ1
順昌SZ1系

この個体は本当にいつ撮っても撮り直す必要がほとんど無いほど格好良く
写る。顎の太さもそこそこ、どこか突出して物凄い太さを発揮している個体
ではないし、顎の形状自体もそんなに自慢できるようなものではない。
けれども格好良く写る。

この個体は頭部が勝っているように見える個体で、逆三角形のプロポーション
なので、格好良いのだ。
けれども頭幅はそれほど大きくはない。むしろ、頭の形状が重要だろう。

眼下突起が発達しているために、前胸の側縁上部が回り込むようになっている。
前胸が逆台形の形状で締まっているため、すっきり見えるのだ。

SZG-H2眼下突起
この個体はSZG-H2であるが、この個体も眼下突起が優れている。
頭部全体の写真を見てみよう。
SZG-H2頭
眼下突起が発達していて、精悍な顔立ちとなっている。

反対に眼下突起の発達があまり無い個体はどうだろう。
seven眼下
セブンオークスのEライン系の個体。
セブンオークスの系統では、眼下突起の発達が少ないものが多い。
この個体もその特徴が典型的で、頭部が四角に見えないという欠点がある。

重ねて書くと頭部が四角に見えない個体は、一番前胸との差を感じやすい
眼下と前胸の突起部において前胸の突起部のほうが高く感じられる。
従って、頭部が負けたように感じられるのだ。
それは、全体を通して見たときに、逆三角形のプロポーションがやや崩れた
ように見えてしまうということである。

頭部全体を見てみよう。
seven頭
この個体は頭長がそれをカバーしているので、あまり気にならない。
頭部の縦の長さである、頭長が長いということは、見るときに頭部と前胸が
やや離れた形となり、その差が強調されにくい。従って頭部の弱さが緩和
されるのである。

だがそれでもこの個体は、眼下突起が無いと四角い頭と感じられにくく、やや頭部が弱い
ようにも感じられる。

hopeiは、ブーム初期の頃、国産オオクワガタとの決定的な違いのなかに眼上突起の
形状がよく言われていた。これはその後国産オオクワガタと外国産オオクワガタの
交雑問題が取りざたにされた際、見分ける点として散々眼上突起のことが言われてきて、
読者の皆さんのなかには、眼上突起の発達こそがhopeiの証と思っている方もいらっしゃる
かもしれない。

だが、全体を真正面から見た際にシルエットに影響を与えない眼上突起の発達は、もろに
シルエットに影響を与える眼下突起に比べると、重要度はいささか低い。
その昔、眼上突起の発達が物凄くあり、その様がまるで鬼のようであったので、それで
血統としてhopeiを販売していたショップがあった。今では誰も言われないことから、
そうした時代の流れが、その重要度の低さを証明している。

格好良さを求める際に、頭部が広いことだけ重視するのではなく、眼下突起の発達も
視野に入れて、頭部の形状にも気を配ってみることも大切なことだろう。